現代のスキンケアにおいて、成分の効果や安全性は非常に重要です。その中でも「グリチルリチン酸ジカリウム」は特に注目される成分の一つです。
しかし、一部では「グリチルリチン酸ジカリウムは肌に悪い」といった噂も耳にします。この記事では、その真相と正しい使い方について詳しく解説します。
グリチルリチン酸ジカリウムとは?
グリチルリチン酸ジカリウムは、甘草(カンゾウ)という植物から抽出される成分です。甘草は古くから薬草として利用され、歴史的には約4千年もの間、さまざまな治療に使われてきました。甘草の根や茎から抽出されたグリチルリチン酸にカリウムを結合させ、水に溶けやすくしたものがグリチルリチン酸ジカリウムです。
20世紀前半から応用研究が進み、医薬品としての使用が広がりました。特に皮膚科領域では、その抗炎症作用や抗アレルギー作用が注目され、医薬部外品や化粧品にも配合されるようになりました。
グリチルリチン酸ジカリウムの効能
グリチルリチン酸ジカリウムは、健康な肌だけでなく、敏感肌やトラブル肌に対しても非常に優れた効能を持っています。以下にその主な効能を紹介します。
抗炎症作用
グリチルリチン酸ジカリウムは、体内で生成される「プロスタグランジンE2」を抑制し、過剰な炎症や赤みを軽減します。これにより、アトピーや肌荒れ、ニキビの悪化を防ぐことができます。
抗アレルギー作用
ヒアルロニダーゼという分解酵素を抑制することで、肌の潤いを保ち、アレルギーによる乾燥や痒みを防ぎます。
バリア機能改善
角質細胞の外側の膜を丈夫にすることで、乾燥や外的刺激を防ぎ、肌のバリア機能を向上させます。
線維芽細胞増殖作用
真皮にあるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸をつくり出す線維芽細胞を増やし、肌のハリと弾力をもたらします。
刺激緩和作用
他の成分による皮膚一時刺激を和らげ、肌に安全に使える成分です。
グリチルリチン酸ジカリウムの使用例
その効能から、グリチルリチン酸ジカリウムはさまざまな製品に利用されています。
医薬品
風邪薬、うがい薬、口腔用殺菌トローチ、外用鎮痛薬、鼻炎薬、非ステロイド系点眼薬、胃腸薬など、幅広く使用されています。また、甘草由来の甘みを利用して、甘味料としても利用されることがあります。
医薬部外品
薬用スキンケア化粧品、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用リンス、日焼け止め、薬用育毛剤、薬用歯磨き粉などに配合され、厚生労働省によりその効果効能が認められています。
一般化粧品
スキンケア用品、日焼け止め、石鹸、シャンプー、歯磨き粉など、化粧品成分としても広く使用されています。
食品
醤油、みそ、漬物、つくだ煮、水産加工食品、清涼飲料水、氷菓、乳製品など、食品の甘味料としても利用されています。
グリチルリチン酸ジカリウムの正しい使い方
グリチルリチン酸ジカリウムの効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方を理解しておくことが重要です。以下に、その基本的な使用ガイドラインを紹介します。
適切な濃度を守る
グリチルリチン酸ジカリウムは、一般的に医薬部外品では0.3%、化粧品では0.5%といった配合率が推奨されています。これを超える濃度で使うと、逆に肌に対する刺激が増える可能性がありますので、製品の使用指示に従ってください。
製品の選び方
グリチルリチン酸ジカリウムを含む製品を選ぶ際には、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。製品の成分表を確認し、他の有効成分や添加物についてもチェックすると良いでしょう。
肌の状態に合わせた使い方
敏感肌やトラブル肌の場合、まずはパッチテストを行いましょう。新しい製品を試す際には、腕の内側など目立たない部分に少量を塗布し、24時間以内に異常がないか確認することが推奨されます。
注意点と副作用に対する対策
グリチルリチン酸ジカリウムは比較的安全な成分ですが、使用方法を誤ると副作用が生じる可能性もあります。以下に注意点と対策をまとめました。
アレルギー反応のチェック
特に敏感肌の方やアレルギー体質の方は、事前にアレルギーテストを行うことが大切です。異変を感じた場合は即時に使用を中止し、皮膚科専門医に相談してください。
長期使用のリスク
長期的な使用においては、定期的に肌の状態をチェックすることが重要です。もし、肌が乾燥しやすくなったり、赤みが増したりする場合は、一旦使用を中断し、専門医に相談することが推奨されます。
製品の保管方法
グリチルリチン酸ジカリウムを含む製品は、直射日光を避け、涼しい場所で保管することが望ましいです。これにより、成分の劣化を防ぎ、効果を最大限に引き出すことができます。
グリチルリチン酸ジカリウムの未来と展望
現在、グリチルリチン酸ジカリウムは多くのスキンケア製品や医薬品に使用されていますが、今後の研究や技術の進展により、さらなる効果や新しい用途が発見される可能性があります。
新しい応用分野
今後、グリチルリチン酸ジカリウムの応用範囲がさらに広がることが期待されます。例えば、再生医療や難治性皮膚疾患の治療など、新しい分野での研究が進んでいます。
環境への配慮
持続可能なスキンケア製品の開発が進む中で、グリチルリチン酸ジカリウムの環境への影響も考慮され始めています。より環境に優しい製造方法や包装の採用が進むことが期待されます。
まとめ
グリチルリチン酸ジカリウムは、甘草由来の天然成分であり、その抗炎症作用や抗アレルギー作用などの多くの効能により、スキンケア製品や医薬品に広く利用されています。一部で「グリチルリチン酸ジカリウムは肌に悪い」といった噂もありますが、正しい使用方法を守ることで、安全性は非常に高いとされています。
重要なのは、製品の使用指示に従い、適切な濃度で使用すること。また、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。アレルギー反応や副作用が心配な場合は、専門医に相談することをお勧めします。
今後もグリチルリチン酸ジカリウムの研究が進み、新しい応用分野や製品が登場することが期待されます。常に最新の情報をキャッチし、最適なスキンケアを続けてください。